会社という組織において、最大に求められることは、最大の成果が組織として実現できることです。そのために、組織のメンバーがやる気を出し、結果として大きな成果が達成されるようにいろいろなやり方や制度が工夫されてきました。
「成果主義」・・・1990年代の初め頃から導入された人事管理の制度。バブル経済崩壊後、どうやって立て直すか・・・ということから、採り入れ始めたものです。有名どころでは、富士通や三井物産やホンダが先駆的で、多くの日本企業で採りいれられました。しかし、そのほとんどは今では「失敗」の烙印を押されているらしい。その理由については、いろいろ語られているようです。これはこれで、長所はあるのでしょうが、それまでの日本の企業体質とあまりにかけ離れていたところがあり、いい結果に結びつかなかったのかもしれません。ともあれ、成果と報酬だけで人を管理しようとした短絡的な思考になってしまったところが、大きかったのではないかと思います。
組織のやる気を引き出すやり方には、「外発的動機」と「内発的動機」とがあります。「外発的動機」とは、文字通り自分の外から発する動機です。評価や報酬、ポストなど・・。チャンと仕事したらこれがもらえるという、直接的な「見返り」に誘われての動機のことです。もうひとつの「内発的動機」とは、その人自身の内部から発する動機。つまり、自分から主体的に取り組もうとする意欲のことです。仕事そのものが楽しいとか、この仕事を担うことが、あることに繋がるので生き甲斐が生まれる・・。といった感じでしょうか。
勿論、組織内のメンバーにとっては、このどちらかという二択の話ではありません。「内発的動機」で仕事に当たる人でも、動機の中には報酬、社会的名声などの外発的なものが必ずある。ですから、混じったもののはずです。
マネジメントにとって大切なことは、「外発的動機」を活かすためにも、メンバーの仕事にどれほどの「内発的動機」を植え付けてあげられるようにするかということです。初めは「外発的動機」だけのように見える部下であっても、その人固有の“やりがい”になるようなものを探してみる。これが、メンバーを駆り立てるエンジンになるはずなのです。
簡単ではありませんよ。でも、この努力をしなくなったら、そこでメンバーの成長は止まるのです。「外発的動機」だけでは、人は長期には成長しないし、組織の永続的な成長も覚束ないのです。そして、当然のこととして大きな成果などは、とてもとても・・ということになってしまうのだと思います。
「内発的動機」には、達成感や自己決定権など様々な要素が含まれます。ひとことで言えば、結果だけでなく、プロセスが楽しめるということかもしれません。結果に至る道筋のなかで、充実感を味わえるということかと。勿論、仕事は結果です。結果が出なくては、意味が有りません。しかし、「結果」を重視していくあまり、メンバーに対して「成果」のみが強調され過ぎてしまう。そして、その過程での「仕事の味わい」を無視してしまったら、殺伐としてしまいます。
仕事の目的、そしてその上で目標を決める。そして、やり方を考えることに、いかにして参加意識を持ってもらえるようにするかです。「仕事の味わい」を持てるようにすること・・。このやる気づくりは、マネジメントの最大の任務のひとつなのだと思います。一方、メンバーとしては、自分の持ち場を認識して自分の役割を主体的に見出す・・。難しいことかもしれませんが、この動きが出来てきて、初めて強い組織となっていくのだと思うのです。
「随所に主となれば、拠つところ皆真なり」・・・私がいつも忘れないようにしている言葉です。
ではまた。