オフィス街のお昼時。サラリーマン、サラリーウーマンが、ドッ〜とビルから出てきて昼食に向かう・・・。お馴染みのよく見かける光景です。誘い合って連れ立って出てきている人、一人で出てくる人・・・とそれぞれ。いつも同じメンバーで連れ立ってというケースも多い。場合によっては、部署とかチームでいつも“事実上”強制されて・・というのもあるようです。
13〜14年程前から使われ出した言い方に、「ランチメイト症候群」というのがあります。一人で食事をすることへの恐れと、食事を一人でするような自分は人間として価値が無いのではないかという不安のことらしい。
現実に世間では「交友関係が狭いのは悪しきこと」という空気が漂っているという面は否めません。何かというと群れたがり、“孤独者”を許そうとしないという人も居る。「友達が居ない人間は価値が低い」「同僚と昼食を摂らない人はどこかに問題がある」「単独行動が多いのは我が儘」・・・と認定する価値観が、色濃く残っているところはあります。
FaceBook上の友達数を増やすことで、安心したり優越感に浸たる。「ビジネス交流会」のようなところに出向いて、ひたすら名刺交換をやって「人脈が広がった〜」と喜んでいたり・・。「スケジュールをビッシリと埋め続ける」ことで、自分は価値があるといった“自信”を持つ・・。確かに、人間は一人では生きていけません。ですから、誰かと接点を持っていて「一人ぼっちじゃない」ということの確認をしたくなるのだと思います。
しかし、人間、生きていれば誰にだって人生の「節目」毎に様々な悩みが生じてきます。そういう「節目」には、本来なら孤独に自分の心を深く見つめなければ解決しない問題が出てくるのです。そして、それを乗り越えるから人間は「成長」する。しかし、「群れる」「つるむ」は、場合によっては日々の不安や課題への取り組みなどを打ち消す上で、とても便利な道具ともなってしまいます。
本当に優れた発想というのは、一人で自分の内面と深く会話している時にこそ生まれるものだと思います。こういうことから言えば、昼休みくらいは「一人の時間」をつくらないと、いいアイディアなんか浮かんでこないのでは? いろいろなものをインプットした脳が、その情報を整理して記憶として残すためには睡眠が欠かせないそうです。睡眠中の脳は、“一人で”そういう活動をしていますよね。 また、リーダーは、高いレベルに行けばいくほど孤独になります。そして、孤独でなければ冷静な判断は出来ません。「社長室」が個室になっている会社が多いというのも、物理的に孤独にさせる空間と時間をつくるためでもあると思います。
いろいろな人と接点を持ち、喋り、読書をする・・・。そして、一方で「孤独になる勇気」と「孤独を楽しむ能力」も養う・・。それが、「充実の毎日になること」にも繋がるのです。
ではまた。